平日は書く事があまり無いまたは、青山ブックセンター六本木店が撤退
青山ブックセンターの六本木店が撤退との事で、やっぱり大変だな、本屋業界という思いをつよくしている。
六本木に行く事はあまり無いけど、通りかかったら入るようにしていたし、訪れると毎回発見のある店だった。
ABCの親会社、今はブックオフなんですね。ブックオフ自体もあまり業績が芳しくないらしく、大きな声では言えないけど、結構お世話になってたりする身としては、気がかりだったりする。( 言い訳すると、江古田のブックオフはフランチャイズ店で、非常に品揃えがよいのです。ブックオフなのに、講談社現代文庫の棚が1本あったりして。店長さんが見識のある人らしい)
ブックオフの業績が良かった時は出版業界から目の敵にされていたけど、そのブックオフにすら、普通の人が行かなくなる時代が来てしまった。そのうち、Amazonですら本が売れないって時代が来るのだろうか?
などと、考えても詮無い事を考えてしまうが、本を読む人って、少なくなり続けるかも知れないけど、0にはならないと思うのです。そうやって残ってくれた忠実なる読者たちに、どんな体験をプレゼント出来るか?これから、本を売ってゆく上では、その事を考え抜く必要がある気がしている。
文学フリマ東京 「本屋の本の本」他
文学フリマ東京にて、むかで屋の雑貨を商って来ました。
前半びっくりするほど売れなくて、売り上げ最低記録も覚悟したけど、後半巻き返してなんとか例年並みにはもっていけた。知り合いの方がたくさん足を運んで下さったのがありがたい。
文フリの場合、参加者どうし交流を深められる、いい意味での緩さ気安さがあって、本当に得がたい場だと思います。
財布の中身が寂しいので、今回購入したのは3冊だけだった。
加藤一輝さん、近藤梓さん訳、シャンフルーリの「猫」は、本格的な翻訳本で、挿し絵が見事なのに驚いて購入。
カープ女子応援マガジン「CoiCoi」には、広島東洋カープとは無関係との但し書きがあり、内容は魚の鯉一色。カラス雑誌の「Crows」みたいに本当に鯉が好きで好きでたまらない方の出した雑誌かと思い、野球話をぐっと飲み込んで購入したところ、編集後記を読んで判明したのは、作った人が熱狂的なカープファンという事実。
「カープ女子」なるニワカの存在が気に入らない発行者さんが、「カープ女子の雑誌と思いきや、鯉女子の雑誌でした!」という出落ちをかましたい一心で作った雑誌だったのだ!
いや、そんなことなら、「私、大瀬良と同郷なんですよ!」とか言ってやれば良かった。「羽生結弦の好きな野球チームはカープです!」みたいなトリビアもつけたのに。
「本屋の本の本」は、書店に関する本10冊のレビュー。
本屋本、最近すごい勢いで増えてて、把握できなくなりつつあるので、こういった試みは本当にありがたい。
今回は10冊のみの紹介だけど、昨日も少し触れた中村和恵「日本語に生まれて」とか、不朽の名作須賀敦子「コルシア書店の仲間たち」とか、 著者のまっすぐな姿勢に打たれる(元上司なので、こんな言い方僭越ですが)「本屋になりたい」とか、いちいち納得のセレクト。
全く知らなかった本も結構入ってて、これから読まないとなあ。
第2弾以降もぜひ出していただきたいものです。(なんなら、手伝います)
そんなこんなで、明日以降の仕事を思って沈む心に追い討ちをかけたのが、楽天、自力優勝可能性消滅の報。
まだ、5月の第1週なのに……まあ、いいです。オコエ藤平八百板フェルナンドと、楽しみな若手を追っかけるシーズンと割り切ることにします。
ああ、明日の仕事……
女子マネージャーの誕生とメディア―スポーツ文化におけるジェンダー形成
- 作者: 高井昌吏
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カレーを作っただけの1日 林勝太郎「トレンチコートとバラの国」他
連休前半に体力と資力を大幅に消耗したため、連休後半は家にこもって過ごしてます。
しかし、父親譲りの貧乏症がたたって、「これで良いのか?私」という気持ちが心から離れない。本を沢山読みたいのだけど、気持ちが焦ってるせいで、かえって読み進めなかったり、なんかどツボです。
と、いうわけで、無理矢理外出して自宅近くの「ぶな」で珈琲とチーズケーキをお供に読書することに。ちなみに、ぶなの珈琲にはオマケのゼリー(コーヒーゼリーか夏みかんゼリーを選べる)まで付いてくるので、デザート二つという贅沢さ。
読んだのは、先日下北沢の古本市で購入した林勝太郎「トレンチコートとバラの国」。1994年刊行の本なので、もう25年近く前ですか。
さらさらと読めるし、ファッションについては流石な博識ぶりなんだけど、気になったのはギリシャについて書かれた最終章。
ギリシャを訪れた著者は、輝かしいギリシャ文明のイメージからかけ離れた、貧し気な人々の姿に軽く幻滅する。で、町を行き交う人々の容姿が「色々な血が混じった」雰囲気でギリシャ彫刻の美男美女から遠い事を嘆いて曰く、「ブロンドの長い髪の美しいギリシャ女性は神話の世界のことで、現代ではあまりにも様相が変わっていた」
……いや、我々のギリシャ文明のイメージが金髪碧眼なんは、後世のヨーロッパ人が再解釈した絵画などの影響でしょう。ギリシャ人は、元々黒髪だし所謂ヨーロピアンな容姿とは遠いのでは?
あなたの幻滅って、日本に来た外国人が「この国には蝶々夫人がいない」って嘆く様なもんだわさ。
と、25年前の本に憤ってもしょうがないんだけど、ぷりぷりしてしまった。
最後は、大英博物館のギリシャコレクションの見事さに触れて終わるんだけど、さすがに著者自身が指摘しているとおり、そのコレクションは本来ギリシャにあるべきものだし……
イギリスエッセイ、好きでよく読むし、優れた書き手の多いジャンルなんだけど、彼国が階級社会で、帝国主義の中心だった事を、どう評価するか、結構デリケートなジャンルでもありますな。
最近読んだ中村和恵「日本語に生まれて」は、「大英博物館……けっ!」ってスタンス。階級社会に関しては、新井潤美さんの一連の著作が参考になるし、緑ゆう子さんの「イギリス人は理想がお好き」とか、ブレイディみかこさんとか、階級社会においては周縁的な存在だからなのか、女性が書くイギリスエッセイの方が、私が憤っているような問題をちゃんと扱えてる気がする。
もちろん、そんなとこまで踏み込めない女性の書き手も、その事を踏まえて書ける男性の書き手も、いますけどね。
夕食は、「パリッコさんみたいなカレーを作って欲しい」との同居人氏の要望をうけて、カレーを作る事に。
参考にするのはもちろん、フィーリングカレーの記録。フィーリングカレーの記録|パリッコ|note
なんですが、パリッコさんは相当の料理強者なので、「野菜を炒めてクミン、チリペッパー(一味唐辛子)、ガラムマサラをパラパラするとカレーができちゃう」的な強え事を書いてある。
真似したい、それだけの材料でカレーなんてカッコイイ。
でも、どう考えても私がその材料で作ったら水っぽいだけの何かになる。
と、いうわけで、クミン、ガラムマサラ、一味唐辛子の他に、保険にトマトを入れ、用心に生姜とニンニクをたっぷり刻みこみ、安心を求めてコリアンダーとクミンシードを使い、極めつけにカレー粉、カレー粉を結構な量入れるというチキンっぷりを発揮してしまった。ちなみに、ポークカレーです。
出来上がったカレーは美味だけど、パリッコさん的なササッと作れちゃうカッコよさとは別のものになってます。
でも、いいのだ美味しいから。
不機嫌なメアリー・ポピンズ―イギリス小説と映画から読む「階級」 (平凡社新書)
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ヨーロッパ・コーリング――地べたからのポリティカル・レポート
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二週間を共にした本 東山彰良「流」
二週間かけて読んでいた本をようやく読み終えた。
東山彰良「流」。
70年代末~80年代初頭の台湾を舞台にした、青春小説である。
決して読みにくい本ではない。
なにせ、直木賞受賞作。
一度物語の世界に入れば、こちらの興味をぐいぐいと引っ張ってゆく。
しかし、小説全体に祖父の死の謎という背骨は通っているものの、主人公の出会う災難やら怪異やら切ない初恋ともっと切ない2度目の恋やらが、数珠繋ぎになっている構成ゆえ、ひとつのエピソードが終わると気持ち的にひと段落してしまう。
没入して100ページほど読み耽ることと、ひと段落して手に取ることも忘れてしまうのを何度か繰り返し、途中ほかの本に浮気をしながら、読み進んでいった次第。
その間、神保町の職場と練馬の自宅を何度も往復し、横浜で本屋講座に参加したり、大阪に行ってなんばの街をさ迷ったり、飛行機に乗り遅れて涙目で新幹線で帰宅(新幹線の中なんて理想的な読書空間なのに、疲労のあまり一ページも読めなかった)したり、三軒茶屋のCat's Meow Booksさんで猫様と戯れたり、まあ、かなりの距離を行き来したが、バッグの中には常にこの本。
一応、紙のカバーをかけておいたものの、ページの角が丸くなってボロい状態。
うーん、古本屋さんに持って行っても値段がつかないかもなあ。
しかし、主人公と歩んだ旅の日々が刻み込まれたようで、なかなか味わい深いとも言えるかも。
感動のあまり一晩中読み耽って1日で読了……なんて読書もいいけれど、こんなふうにちびちび読み進めるのも悪くないし、案外、こうやって読み終えた本が、印象に残ったりするものですしね。
このブログは、本屋になりたいと志す私の、遅読と未読と積読の日々を綴ります。
更新頻度やブログの内容に縛りはつけず、ゆるゆるとやっていきますが、お付き合いいただけると幸いです。