カレーを作っただけの1日 林勝太郎「トレンチコートとバラの国」他
連休前半に体力と資力を大幅に消耗したため、連休後半は家にこもって過ごしてます。
しかし、父親譲りの貧乏症がたたって、「これで良いのか?私」という気持ちが心から離れない。本を沢山読みたいのだけど、気持ちが焦ってるせいで、かえって読み進めなかったり、なんかどツボです。
と、いうわけで、無理矢理外出して自宅近くの「ぶな」で珈琲とチーズケーキをお供に読書することに。ちなみに、ぶなの珈琲にはオマケのゼリー(コーヒーゼリーか夏みかんゼリーを選べる)まで付いてくるので、デザート二つという贅沢さ。
読んだのは、先日下北沢の古本市で購入した林勝太郎「トレンチコートとバラの国」。1994年刊行の本なので、もう25年近く前ですか。
さらさらと読めるし、ファッションについては流石な博識ぶりなんだけど、気になったのはギリシャについて書かれた最終章。
ギリシャを訪れた著者は、輝かしいギリシャ文明のイメージからかけ離れた、貧し気な人々の姿に軽く幻滅する。で、町を行き交う人々の容姿が「色々な血が混じった」雰囲気でギリシャ彫刻の美男美女から遠い事を嘆いて曰く、「ブロンドの長い髪の美しいギリシャ女性は神話の世界のことで、現代ではあまりにも様相が変わっていた」
……いや、我々のギリシャ文明のイメージが金髪碧眼なんは、後世のヨーロッパ人が再解釈した絵画などの影響でしょう。ギリシャ人は、元々黒髪だし所謂ヨーロピアンな容姿とは遠いのでは?
あなたの幻滅って、日本に来た外国人が「この国には蝶々夫人がいない」って嘆く様なもんだわさ。
と、25年前の本に憤ってもしょうがないんだけど、ぷりぷりしてしまった。
最後は、大英博物館のギリシャコレクションの見事さに触れて終わるんだけど、さすがに著者自身が指摘しているとおり、そのコレクションは本来ギリシャにあるべきものだし……
イギリスエッセイ、好きでよく読むし、優れた書き手の多いジャンルなんだけど、彼国が階級社会で、帝国主義の中心だった事を、どう評価するか、結構デリケートなジャンルでもありますな。
最近読んだ中村和恵「日本語に生まれて」は、「大英博物館……けっ!」ってスタンス。階級社会に関しては、新井潤美さんの一連の著作が参考になるし、緑ゆう子さんの「イギリス人は理想がお好き」とか、ブレイディみかこさんとか、階級社会においては周縁的な存在だからなのか、女性が書くイギリスエッセイの方が、私が憤っているような問題をちゃんと扱えてる気がする。
もちろん、そんなとこまで踏み込めない女性の書き手も、その事を踏まえて書ける男性の書き手も、いますけどね。
夕食は、「パリッコさんみたいなカレーを作って欲しい」との同居人氏の要望をうけて、カレーを作る事に。
参考にするのはもちろん、フィーリングカレーの記録。フィーリングカレーの記録|パリッコ|note
なんですが、パリッコさんは相当の料理強者なので、「野菜を炒めてクミン、チリペッパー(一味唐辛子)、ガラムマサラをパラパラするとカレーができちゃう」的な強え事を書いてある。
真似したい、それだけの材料でカレーなんてカッコイイ。
でも、どう考えても私がその材料で作ったら水っぽいだけの何かになる。
と、いうわけで、クミン、ガラムマサラ、一味唐辛子の他に、保険にトマトを入れ、用心に生姜とニンニクをたっぷり刻みこみ、安心を求めてコリアンダーとクミンシードを使い、極めつけにカレー粉、カレー粉を結構な量入れるというチキンっぷりを発揮してしまった。ちなみに、ポークカレーです。
出来上がったカレーは美味だけど、パリッコさん的なササッと作れちゃうカッコよさとは別のものになってます。
でも、いいのだ美味しいから。
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