二週間を共にした本 東山彰良「流」

    二週間かけて読んでいた本をようやく読み終えた。

東山彰良「流」。

70年代末~80年代初頭の台湾を舞台にした、青春小説である。

 

    決して読みにくい本ではない。

なにせ、直木賞受賞作。

一度物語の世界に入れば、こちらの興味をぐいぐいと引っ張ってゆく。

     しかし、小説全体に祖父の死の謎という背骨は通っているものの、主人公の出会う災難やら怪異やら切ない初恋ともっと切ない2度目の恋やらが、数珠繋ぎになっている構成ゆえ、ひとつのエピソードが終わると気持ち的にひと段落してしまう。

没入して100ページほど読み耽ることと、ひと段落して手に取ることも忘れてしまうのを何度か繰り返し、途中ほかの本に浮気をしながら、読み進んでいった次第。

    その間、神保町の職場と練馬の自宅を何度も往復し、横浜で本屋講座に参加したり、大阪に行ってなんばの街をさ迷ったり、飛行機に乗り遅れて涙目で新幹線で帰宅(新幹線の中なんて理想的な読書空間なのに、疲労のあまり一ページも読めなかった)したり、三軒茶屋のCat's Meow Booksさんで猫様と戯れたり、まあ、かなりの距離を行き来したが、バッグの中には常にこの本。

     一応、紙のカバーをかけておいたものの、ページの角が丸くなってボロい状態。

うーん、古本屋さんに持って行っても値段がつかないかもなあ。

    しかし、主人公と歩んだ旅の日々が刻み込まれたようで、なかなか味わい深いとも言えるかも。

 感動のあまり一晩中読み耽って1日で読了……なんて読書もいいけれど、こんなふうにちびちび読み進めるのも悪くないし、案外、こうやって読み終えた本が、印象に残ったりするものですしね。

 

    このブログは、本屋になりたいと志す私の、遅読と未読と積読の日々を綴ります。

更新頻度やブログの内容に縛りはつけず、ゆるゆるとやっていきますが、お付き合いいただけると幸いです。