本まみれの週末

6月末日
    朝、延滞していた本を返しに練馬区立小竹図書館に。

     図書館で借りても読み切る前に貸出期限が来てしまうことが多いので、今回の貸出は3冊まで……と決めていたはずが、返却棚に面白い本があったり、そういえば、大学の先輩の本が話題(芥川賞候補に盗用されたらしい)だしと探してみたり、まんじゅうの本がやたらと美味しそうだったりで、ついつい借りすぎてしまう。
    今回借りたのは、都築響一「捨てられないTシャツ」、石井光太「世界比較貧困学入門」、「メイド・イン・ソビエト」、「日本まんじゅう紀行」、「メイクの超基本テクニック」の5冊。

    その足で、今日が返却期限の本を返しに武蔵大学図書館へ。
    つまり、図書館のハシゴである。大学図書館だけあって堅めの本が多いのだが、この図書館で出会うと、「頑張って挑もう」という気持ちになれる。そして、結構な頻度で挫折する。
    小竹図書館で借りた分の荷物が重いし、今回は借りずに……などという自制心が私にある訳もなく、湯浅誠他「活動家一丁あがり」「ストレスのトリセツ」「アイドルの読み方」と借りてしまう。「アイドルの読み方」は、BiSについても論じているようなので楽しみ。

 

   帰宅後、ぐいぐい上がってゆく気温におののきながら、先ほどの「世界比較貧困学入門」を読み始め。

    うーん、著者の「相対的貧困」への認識には、ちょっと問題があるかと。貧困問題の入門書なら、地道にこの問題に取り組んできた運動家による優れた本が沢山ある。そういった本を紹介するエントリーもあげたいものだ、書くの疲れるけど。

 

    辛ラーメンを昼食にとった後、同居人氏と高円寺へ。暑い、暑すぎて呼吸すら苦しい。お互いえらく無口になりながら会場にたどり着き、久住昌之さん、久住卓也さん、岡崎武士さん、荻原魚雷さんによる「古本屋台」トークショーを堪能。
    「古本屋台」は、古本を満載した屋台で街を流すオヤジと、そこに集う人たちのショートストーリーなんだけど、久住ご兄弟は作者、岡崎さんと魚雷さんは作中キャラのモデルだったりする。
    トークショーは、進行の方がいい味を出しており、実にゆるくて良かった。古本屋台の会話を再現したみたい。
    しかも、ミニライブ付き。久住昌之さんは、「孤独のグルメ」原作者でドラマでは音楽も担当されているので、もちろん、アレもやって下さいました。
♪ゴローゴローゴロー イ、ノ、カ、シラッふぅー

    このトークショー、終了後に久住さんたちと呑めるという、とんでもない特典付きだった。
    河岸を古本居酒屋コクテイルに変えて、呑む。私は下戸なのでウーロン茶のみでしたが、古本屋台で出してた白波のお湯割りなども飲み放題で、みなさん大いに盛り上がっていた。
    私と同居人氏は、岡崎さんや魚雷さんの近くで呑んでいたのだけど、当然、その周辺は濃ゆい古本者の集まりに。
    話題も古本というか、積読本話中心で大いに盛りあがる。
「すぐに読む本しか買わない人間ばかりだったら、出版社はなりたたんね」という岡崎さんの発言を皮切りに、ぶんぶんと首を振りたくなる名言多発。
「最近、本屋をめぐるのに忙しくて、本を読む暇が無いんです」と発言したところ、ものすごい勢いで賛同していただき、あー、みんなどうかしてるよ、と思うなど。
    同居人氏は、久住昌之さんの事をとても尊敬しているので、久住さんの近くに来るとコチコチに固まっていた。

 

    帰宅前に、久住昌之さんの新刊「これ喰ってシメ!」を購入しようと、高円寺駅前の文禄堂へ。自力では見つけられず、レジにいたバイト君に確認をしてもらった所、端末での在庫は出るのに現物が無いという、書店員泣かせな状態に。
    2人居たバイト君が、レジを打ちながら二十分以上探してくれ、社員の方に電話(夜の10時過ぎに)までしてくれたのに見つからず。私も同居人氏も元書店員なので、この状態の辛さは身に染みてわかる。
    しきりに恐縮しているバイト君にお礼を言って、前から読みたかったスケラッコさんの「大きい犬」を代わりに購入した。

 

    日曜日は朝早いので、帰宅後は出来るだけ早く寝るつもりだったが、ワールドカップのアルゼンチン対フランスが、スーパーゴール連発で、なかなか眠れず。

    それでも試合途中で布団に滑り込み、「大きい犬」をパラパラめくって見たところ……そのまま、引き込まれて最後まで読んでしまう。しかも、号泣。
    おかげで、睡眠時間は5時間ほどになってしまった。


7月初日
    朝9時に下北沢の本屋B&Bで所用。
    相変わらず、選書が鋭くて欲しい本ばかりだけど、開店前にうかがったので購入はせず。

     下北沢は、一般的には小劇場の町だったり、古着屋の町なんだろうけど、私にとっては本の町である。
    セレクト系の新刊書店や、尖った品揃えの古本屋が沢山あるので、いつも荷物が重くなってしまうのだ。
    まあ、私にとりましては、高円寺も谷根千雑司ヶ谷も吉祥寺も本の町だったりしますが……

 

    古本屋が開く時間にはだいぶ間があったので、私の下北沢ライフに欠かせない喫茶店ザックで、1時間ほど時間つぶし。紅茶を頼むと必ずクッキーが一枚付いてくるというサービス精神が、本当に好き。
    店内では、昨日借りてきた「メイド・イン・ソビエト」を読み始める(「世界比較貧困入門」は、こんな暑い日に読むと滅入りそうなのでペンディング)。ソビエト時代の生活用品や、ちょっとした風俗を紹介した本で、一見硬めだけどすごく読みやすい。テイストとしては、米原万里さんのエッセイとか、中村和恵さんの紀行に似てるかな。
ソビエト時代に流通していた香水がすごく欲しくなるなど。

 

    無事に古本屋さんの開店時間を迎え、外の気温もぼんやりとメメントモる程度になった頃合に、ザックを出てほん吉という古本屋さんへ。

    一見、雑多に並んでいるようで、1本筋の通った選書の棚に感心しながら店の奥に進んだところ、一番奥の棚にズラリと並んだフェミニズムジェンダーの本たちに圧倒される。そのまま本の山をかき分けてゆくと、今度は心理学/精神障害者福祉の棚がまた圧巻。
    店の随所に、「女性店主の選書」である旨が表示してあった。池内紀「恋文物語」西寺郷太「噂のメロディ・メイカー」、「廓のおんな」の3冊を購入。

 

    さらに、古書ビビビへ。なぜかデカデカと「東京の名所」と書かれているこちらは、サブカル系に寄せた品揃え。眠くなる音楽を聞きながら棚をながして、「東京 古本とコーヒー巡り」「谷根千小さなお店散歩」若島正「乱視読者の英米短編講義」を購入。

 

    B&Bに戻るつもりだったが、暑くて朦朧としだしたので帰宅。

     買ったばかりの本を寝床の脇に積み上げ、いつ読めるんだろうとため息をついた。

 

【本日の5冊】

 

古本屋台 (書籍扱いコミック)

古本屋台 (書籍扱いコミック)

 

 

 

蔵書の苦しみ (知恵の森文庫 t お 10-3)

蔵書の苦しみ (知恵の森文庫 t お 10-3)

 

 

 

閑な読書人

閑な読書人

 

 

 

高円寺 古本酒場ものがたり

高円寺 古本酒場ものがたり

 

 

 

 

カフェイン・ガール (リュエルコミクス)

カフェイン・ガール (リュエルコミクス)