神保町シアターで観てきた「赤い鳥逃げた?」と、南って名前の由来だぞ!な話

    南(本名)です。

    私は80年代半ばあたりの生まれに間違われることが多くて、「名前の由来は、タッチの浅倉南なの?」ってよく聞かれます。

    お答えしましょう、タッチの連載開始は1981年、私は1979年生まれで、つまり、私の方が先です。この説明する度に、「こやつ、もうすぐ四十郎か」という顔をされるのが辛いです。

    あと、個人的には、南より新田さんの方が好き。 

 

   で、私の名前の由来ですが、七十年代に活躍した、歌手の安田南さんです。 

    三十代で引退されてその後公の場に出ることはほぼ無く、ジャズ畑の人で派手なヒット とも無縁だったので、現在名前が知れ渡ってるとは言い難いのが残念ですが、今は便利な時代ですので、Youtubeで検索すると、アカンやつな動画で歌声を聴けます。

    伸びのある高音が、セクシーとか可愛いとかではなくちょっと少年っぽい。個性的な歌声で、非常に良いですよ。

    福山雅治がカバーした「ぷかぷか」という曲があって、この曲に登場する「彼女」のモデルだとも言われてます。

 

    その安田南さんが主題歌を歌った事で著名な、藤田敏八監督の「赤い鳥逃げた?」と言う映画を、神保町シアターで観てきました。 

 

    原田芳雄と大門正明演じるケチなチンピラの冴えない生活に、桃井かおり演じる奔放な少女が絡む青春映画。

    男ふたりの世をすねてる感じとか、桃井かおりのわかりやすく不思議少女な造形とかが、いかにも七十年代の映画で、七十年代回路が欠落してる私にとっては、ちょっと尾てい骨がむず痒い感じでした。

 

    しかし、桃井かおりと大門正明が自転車に2人乗りしているのを、スローモーションでとらえる場面で、はっ!と気付きました。

「もしかして、「明日に向かって撃て!」がやりたいの?」

    そう言えば、やや年長と若いアウトロー、若い方の恋人だけど年長の方ともいい感じになる女と、人物の配置がまったく同じ。

    てことは、終盤は……と、予想していた通りの展開だったので、我ながらすげえとうぬぼれてます。

 

    しかし、この人物配置と、男女の関係性、イヴ・セジウィックがとなえるところの、「ホモソーシャル」な関係性にぴったりハマりこんでしまっているんですね。

 

   つまりぃ、表面的にはぁ、桃井かおり原田芳雄と大門正明の三角関係を描いてるように見えるけどぉ、実際にぃ描かれているのはぁ、男同志の関係性なわけぇ。

    桃井の存在わぁ、男ふたりを繋ぎ合わせるための媒介に過ぎなくてぇ、ふたりのぉ「キズナ」を確かめるためにぃ、交換される存在がぁ、女であり桃井ってわけぇ。

(私は、イヴ・セジウィックの本に二回挑戦したけど、どっちも挫折しちゃったもんで、間違ってたらお恥ずかしい)

 

    明日に向かって撃て!よりも性描写が直接的である分、桃井かおりの扱いが際立ってしまい、私が観るには正直キツい映画でした。

 

    ただし、劇中頻繁に現れる「鳥」のイメージが詩的で切ない(特に「赤い鳥」)し、七十年代の風俗に浸って観るぶんには、良い映画かと。

 

    劇中の扱いが不憫な桃井かおりですが、改めて認識したのは、この人の表情の切り替えの凄さ。それまで甘ったれた表情をしていた桃井かおりが、大門正明に挑みかかるような視線を投げるシーン……水際立ってました。

   あと、脇役で出てくる地井武男が、びっくりするほどイケメンです。

 

【本日の5冊】

 

 

FOR LADIES BY LADIES―女性のエッセイ・アンソロジー (ちくま文庫)

FOR LADIES BY LADIES―女性のエッセイ・アンソロジー (ちくま文庫)

 

 ☆安田南さんのエッセイが所収

 

 

女子マネージャーの誕生とメディア―スポーツ文化におけるジェンダー形成

女子マネージャーの誕生とメディア―スポーツ文化におけるジェンダー形成

 

 

 

 

 

男同士の絆―イギリス文学とホモソーシャルな欲望―

男同士の絆―イギリス文学とホモソーシャルな欲望―

 

 

 

男たちの絆、アジア映画 ホモソーシャルな欲望

男たちの絆、アジア映画 ホモソーシャルな欲望