犬派と猫派の心理分析?または、いちばん業が深いのは自分だったと言うお話

    今日、とあるイラストレーターさんに、「犬派ですか?猫派ですか?」と言う質問をされました。

    その方は、基本的には犬派だけど、猫のイラストを描いてらっしゃるとの事。猫派人間からすると、自分のイラストはどんな感じなのか、少し心配されているようでした。

 

    むかで屋の活動で、イラストや雑貨を製作している方と知り合う機会が多いのですが、そこでよく聞くのは「猫派の人の方がよく買ってくれる」という事。

 

    別に犬派さんがケチな訳ではなくて、犬って犬種によって姿が全く違いますからね。チワワ好きにゴールデンレトリバーグッズを売るのは、至難の業でしょう。

    その点、猫は長毛短毛など多少の違いはありつつも、基本的に猫の姿をしてますので、ファン層もマスになりやすいのです。

 

    でも、私なりに犬派の人と猫派の人に接してて思うのは、それだけでは説明のつかない、犬派と猫派の心理の違いです。

 

    例外もあるでしょうが、犬派の方は「うちで飼ってる○○ちゃんが好き」、猫派の方は「猫だったらどの子でも好き」と言う傾向が強いように感じます。

 

     なんて言うと、アイドルファンにおけるDD(誰でも大好きの略、ニューヨークヤンキースの田中神の子将大みたいなアイドルファンをさす)みたいに、猫派の方がカジュアルなのかしらと思われるでしょうが、猫好きの業の深さをなめてはいけません。(マー様は、あれはあれで業が深い気もするけど、とりあえずここでは置いておく)

 

    ハードコアな猫好きさんというのはね、猫の姿をしているものだったら、何にでも「うちの子」を投影してしまう方々なのです。

 

    この現象を説明する時、いつも例に出して大ウケするのが、とある雑貨屋さんが語ってくれたエピソード。

    白猫のグッズを「うちの子そっくりなんです~」と買ってくれたお客さんに、「白猫ちゃん飼ってらっしゃるんですね」と話しかけたところ、「うちの子は黒猫です~」と言う返事がかえってきたそうです。

 

    ついでに言うと、猫派さんの「うちの子投影癖」は、猫の姿をしている物にとどまりません。

    猫を飼っているお宅にお邪魔して、TVのドキュメンタリーを見ていた時の事、そこの親子が「うちの子そっくりだよねー」と盛り上がっていたのは、キングペンギンでした。

    正直言って、私にはペンギンにしか見えなかったので、とりあえず「目付きが凛々しいですよね!」と、話を合わせるのが精一杯でした。 

    そう言えば、うちの母親も実家のミルが健在だった頃、「ミルはキツネに似ている」と言い張ってたしなあ。

    そのうち、アフリカゾウとかクマムシも「うちの子そっくりなんです~」と言い出す猫派さんが現れるかも知れません。

 

    ところで、私、冒頭の質問にどう答えたかと言いますと、「いやー、毛が生えてればなんでもOKなんですよ」です。

    実際、実家でミルを飼っていた時期は猫派だったんですが、彼女が亡くなって、ケモノと触れ合う機会に飢え始めて以来、犬でも猫でもヤギでもパンダでも、およそ毛が生えてる生き物だったら何を見てもキュンキュンしちゃう体質になっちゃったのです。

 

    田中将大もびっくりのDDぶりですね。ちなみに、田中将大を見てもキュンキュンしますが……(楽天ファンなので)

 

   イラストレーターさんに、「すいません、あんまり参考にならなくて」とお詫びしてわかれた後思ったんですが、「『毛が生えてれば』何でも好き」ってのは、正確じゃなかったな……私、ハダカデバネズミも大好きなんですもの。

 

    業が深いのは猫好きだけじゃないってお話でした。

 

 
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せっかくなので、在りし日のミルさんも掲げておきます。

 

   【本日の5冊】

 

ノラや (中公文庫)

ノラや (中公文庫)

 

 

 

近所の犬 (幻冬舎文庫)

近所の犬 (幻冬舎文庫)

 

 

 

ペンギン、日本人と出会う

ペンギン、日本人と出会う

 

 

 

 

ヤギ飼いになる New edition!: ミルクがとれて除草にも活躍。ヤギの飼い方最前線!

ヤギ飼いになる New edition!: ミルクがとれて除草にも活躍。ヤギの飼い方最前線!

 

 

 

 

ハダカデバネズミ―女王・兵隊・ふとん係 (岩波科学ライブラリー 生きもの)

ハダカデバネズミ―女王・兵隊・ふとん係 (岩波科学ライブラリー 生きもの)

 

 

 

それはサバ缶か人魚か 私的コスメ論

    買ってきたばかりのマスカラを早速試してみたところ、乾きが遅くて見事なパンダ目に。
    思わず、「フローフシ……信じていたのに」とくちばしったんですが、ソレを聞いた同居人氏から「なんか、人魚の肉と間違えてサバ缶食べた人みたいですよ」という素敵なツッコミをちょうだいしてしました。

 

    ちょっと解説が必要ですね。フローフシは、化粧品を製造している会社の名前。熊野筆の技術を応用したアイライナーや、様々なタイプの商品を選べるマスカラなど、アイメイク用品の質の高さはピカイチ……しかし、そのピカイチな品の名前が「モテライナー」に「モテマスカラ」と、愛用してると表明するには、ちょっと勇気のいるネーミングなんですね。
    会社名も、フローフシってちょっと独特というか、養老乃瀧みたいというか。

 

    毎日お化粧するようになって3年ほどたちます。最初はどんな化粧品を使っても同じだろうと思ってましたが、化粧品ほど商品の質が露骨にでる分野も珍しいですね。特にファンデーションとアイメイク用品は、質の悪いものを掴むと大変切ないことになる。

 

    難しいのは、化粧品の場合、質と値段がまったく比例していないのです。私は、デパートで売っているようなコスメにはとんと縁がないので、あまり偉そうな事は言えませんが、私の愛読誌LDK the beauty(化粧品の商品テストが熱い雑誌)をみるかぎりだと、5000円越えの高級コスメが500円のコスメの後塵を拝することもしょっちゅう。


    あと、私の乏しい経験則から申しますと、マーケティングがしっかりしてたり、CMが素敵だったり、パッケージが可愛い化粧品は鬼門です。
    例えば、敢えて名を伏す〇AJOLICA MA〇ORCAは、「誰の為でもなく自分のためにキレイになる女の子」というコンセプトもしっかりしてるし、パッケージもかわいいし、なにより、辻川幸一郎さんが手がけてた自己中毒的に可愛いCMが最高(最近、テレビCMは流してないですが)!ホントにホントに好きなブランドなんですけど……いざ毎日使うとなると、うん、まあ、若向きだから仕方ないね、ってかんじです。

    資〇堂だと、INTE〇RATEも……まあ、CMは炎上しちゃいましたが、赤一色のパッケージがとても素敵だし、マジョマジョとは対照的にハンサム系なコンセプトも1本筋が通ってます。そして、うん、まあ、若向きだから……。
    逆に、オペラのリップティントは、発色も潤んだような艶も色もちもサイコーなのに、ニックネームが「花嫁リップ」……そ、それは結婚する気のないフェミニストはお呼びじゃないってことかい!と未だ購入に至ってません。


    でも、化粧品の大事な機能に、気持ちを軽やかにするというか、ソレを使ってる自分が好きになれるようにするというのがあると思います。だから、マジョマジョもINTEGRATEも、隙あらば使ってたりします。


    件のマスカラは、鉄壁の質の高さを誇るフローフシにしてはちょっと残念な結果ですが、まだサバ缶だと決まったわけではありません。もう少し使い込んでからジャッジしたいと思います。


    本日は、女子力高めでお送りしました!
(選書が大変)

 

【本日の5冊】

 

 

お化粧しないは不良のはじまり

お化粧しないは不良のはじまり

 

 

 

 

 

江戸美人の化粧術 (講談社選書メチエ)

江戸美人の化粧術 (講談社選書メチエ)

 

 

 

 

 

レディーの赤面: ヴィクトリア朝社会と化粧文化

レディーの赤面: ヴィクトリア朝社会と化粧文化

 

 

 

 

キレイならいいのか――ビューティ・バイアス (亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズ)

キレイならいいのか――ビューティ・バイアス (亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズ)

 

 

結婚の条件 (朝日文庫 お 26-3)

結婚の条件 (朝日文庫 お 26-3)

 

 

本まみれの週末

6月末日
    朝、延滞していた本を返しに練馬区立小竹図書館に。

     図書館で借りても読み切る前に貸出期限が来てしまうことが多いので、今回の貸出は3冊まで……と決めていたはずが、返却棚に面白い本があったり、そういえば、大学の先輩の本が話題(芥川賞候補に盗用されたらしい)だしと探してみたり、まんじゅうの本がやたらと美味しそうだったりで、ついつい借りすぎてしまう。
    今回借りたのは、都築響一「捨てられないTシャツ」、石井光太「世界比較貧困学入門」、「メイド・イン・ソビエト」、「日本まんじゅう紀行」、「メイクの超基本テクニック」の5冊。

    その足で、今日が返却期限の本を返しに武蔵大学図書館へ。
    つまり、図書館のハシゴである。大学図書館だけあって堅めの本が多いのだが、この図書館で出会うと、「頑張って挑もう」という気持ちになれる。そして、結構な頻度で挫折する。
    小竹図書館で借りた分の荷物が重いし、今回は借りずに……などという自制心が私にある訳もなく、湯浅誠他「活動家一丁あがり」「ストレスのトリセツ」「アイドルの読み方」と借りてしまう。「アイドルの読み方」は、BiSについても論じているようなので楽しみ。

 

   帰宅後、ぐいぐい上がってゆく気温におののきながら、先ほどの「世界比較貧困学入門」を読み始め。

    うーん、著者の「相対的貧困」への認識には、ちょっと問題があるかと。貧困問題の入門書なら、地道にこの問題に取り組んできた運動家による優れた本が沢山ある。そういった本を紹介するエントリーもあげたいものだ、書くの疲れるけど。

 

    辛ラーメンを昼食にとった後、同居人氏と高円寺へ。暑い、暑すぎて呼吸すら苦しい。お互いえらく無口になりながら会場にたどり着き、久住昌之さん、久住卓也さん、岡崎武士さん、荻原魚雷さんによる「古本屋台」トークショーを堪能。
    「古本屋台」は、古本を満載した屋台で街を流すオヤジと、そこに集う人たちのショートストーリーなんだけど、久住ご兄弟は作者、岡崎さんと魚雷さんは作中キャラのモデルだったりする。
    トークショーは、進行の方がいい味を出しており、実にゆるくて良かった。古本屋台の会話を再現したみたい。
    しかも、ミニライブ付き。久住昌之さんは、「孤独のグルメ」原作者でドラマでは音楽も担当されているので、もちろん、アレもやって下さいました。
♪ゴローゴローゴロー イ、ノ、カ、シラッふぅー

    このトークショー、終了後に久住さんたちと呑めるという、とんでもない特典付きだった。
    河岸を古本居酒屋コクテイルに変えて、呑む。私は下戸なのでウーロン茶のみでしたが、古本屋台で出してた白波のお湯割りなども飲み放題で、みなさん大いに盛り上がっていた。
    私と同居人氏は、岡崎さんや魚雷さんの近くで呑んでいたのだけど、当然、その周辺は濃ゆい古本者の集まりに。
    話題も古本というか、積読本話中心で大いに盛りあがる。
「すぐに読む本しか買わない人間ばかりだったら、出版社はなりたたんね」という岡崎さんの発言を皮切りに、ぶんぶんと首を振りたくなる名言多発。
「最近、本屋をめぐるのに忙しくて、本を読む暇が無いんです」と発言したところ、ものすごい勢いで賛同していただき、あー、みんなどうかしてるよ、と思うなど。
    同居人氏は、久住昌之さんの事をとても尊敬しているので、久住さんの近くに来るとコチコチに固まっていた。

 

    帰宅前に、久住昌之さんの新刊「これ喰ってシメ!」を購入しようと、高円寺駅前の文禄堂へ。自力では見つけられず、レジにいたバイト君に確認をしてもらった所、端末での在庫は出るのに現物が無いという、書店員泣かせな状態に。
    2人居たバイト君が、レジを打ちながら二十分以上探してくれ、社員の方に電話(夜の10時過ぎに)までしてくれたのに見つからず。私も同居人氏も元書店員なので、この状態の辛さは身に染みてわかる。
    しきりに恐縮しているバイト君にお礼を言って、前から読みたかったスケラッコさんの「大きい犬」を代わりに購入した。

 

    日曜日は朝早いので、帰宅後は出来るだけ早く寝るつもりだったが、ワールドカップのアルゼンチン対フランスが、スーパーゴール連発で、なかなか眠れず。

    それでも試合途中で布団に滑り込み、「大きい犬」をパラパラめくって見たところ……そのまま、引き込まれて最後まで読んでしまう。しかも、号泣。
    おかげで、睡眠時間は5時間ほどになってしまった。


7月初日
    朝9時に下北沢の本屋B&Bで所用。
    相変わらず、選書が鋭くて欲しい本ばかりだけど、開店前にうかがったので購入はせず。

     下北沢は、一般的には小劇場の町だったり、古着屋の町なんだろうけど、私にとっては本の町である。
    セレクト系の新刊書店や、尖った品揃えの古本屋が沢山あるので、いつも荷物が重くなってしまうのだ。
    まあ、私にとりましては、高円寺も谷根千雑司ヶ谷も吉祥寺も本の町だったりしますが……

 

    古本屋が開く時間にはだいぶ間があったので、私の下北沢ライフに欠かせない喫茶店ザックで、1時間ほど時間つぶし。紅茶を頼むと必ずクッキーが一枚付いてくるというサービス精神が、本当に好き。
    店内では、昨日借りてきた「メイド・イン・ソビエト」を読み始める(「世界比較貧困入門」は、こんな暑い日に読むと滅入りそうなのでペンディング)。ソビエト時代の生活用品や、ちょっとした風俗を紹介した本で、一見硬めだけどすごく読みやすい。テイストとしては、米原万里さんのエッセイとか、中村和恵さんの紀行に似てるかな。
ソビエト時代に流通していた香水がすごく欲しくなるなど。

 

    無事に古本屋さんの開店時間を迎え、外の気温もぼんやりとメメントモる程度になった頃合に、ザックを出てほん吉という古本屋さんへ。

    一見、雑多に並んでいるようで、1本筋の通った選書の棚に感心しながら店の奥に進んだところ、一番奥の棚にズラリと並んだフェミニズムジェンダーの本たちに圧倒される。そのまま本の山をかき分けてゆくと、今度は心理学/精神障害者福祉の棚がまた圧巻。
    店の随所に、「女性店主の選書」である旨が表示してあった。池内紀「恋文物語」西寺郷太「噂のメロディ・メイカー」、「廓のおんな」の3冊を購入。

 

    さらに、古書ビビビへ。なぜかデカデカと「東京の名所」と書かれているこちらは、サブカル系に寄せた品揃え。眠くなる音楽を聞きながら棚をながして、「東京 古本とコーヒー巡り」「谷根千小さなお店散歩」若島正「乱視読者の英米短編講義」を購入。

 

    B&Bに戻るつもりだったが、暑くて朦朧としだしたので帰宅。

     買ったばかりの本を寝床の脇に積み上げ、いつ読めるんだろうとため息をついた。

 

【本日の5冊】

 

古本屋台 (書籍扱いコミック)

古本屋台 (書籍扱いコミック)

 

 

 

蔵書の苦しみ (知恵の森文庫 t お 10-3)

蔵書の苦しみ (知恵の森文庫 t お 10-3)

 

 

 

閑な読書人

閑な読書人

 

 

 

高円寺 古本酒場ものがたり

高円寺 古本酒場ものがたり

 

 

 

 

カフェイン・ガール (リュエルコミクス)

カフェイン・ガール (リュエルコミクス)

 

 

 

 

神保町シアターで観てきた「赤い鳥逃げた?」と、南って名前の由来だぞ!な話

    南(本名)です。

    私は80年代半ばあたりの生まれに間違われることが多くて、「名前の由来は、タッチの浅倉南なの?」ってよく聞かれます。

    お答えしましょう、タッチの連載開始は1981年、私は1979年生まれで、つまり、私の方が先です。この説明する度に、「こやつ、もうすぐ四十郎か」という顔をされるのが辛いです。

    あと、個人的には、南より新田さんの方が好き。 

 

   で、私の名前の由来ですが、七十年代に活躍した、歌手の安田南さんです。 

    三十代で引退されてその後公の場に出ることはほぼ無く、ジャズ畑の人で派手なヒット とも無縁だったので、現在名前が知れ渡ってるとは言い難いのが残念ですが、今は便利な時代ですので、Youtubeで検索すると、アカンやつな動画で歌声を聴けます。

    伸びのある高音が、セクシーとか可愛いとかではなくちょっと少年っぽい。個性的な歌声で、非常に良いですよ。

    福山雅治がカバーした「ぷかぷか」という曲があって、この曲に登場する「彼女」のモデルだとも言われてます。

 

    その安田南さんが主題歌を歌った事で著名な、藤田敏八監督の「赤い鳥逃げた?」と言う映画を、神保町シアターで観てきました。 

 

    原田芳雄と大門正明演じるケチなチンピラの冴えない生活に、桃井かおり演じる奔放な少女が絡む青春映画。

    男ふたりの世をすねてる感じとか、桃井かおりのわかりやすく不思議少女な造形とかが、いかにも七十年代の映画で、七十年代回路が欠落してる私にとっては、ちょっと尾てい骨がむず痒い感じでした。

 

    しかし、桃井かおりと大門正明が自転車に2人乗りしているのを、スローモーションでとらえる場面で、はっ!と気付きました。

「もしかして、「明日に向かって撃て!」がやりたいの?」

    そう言えば、やや年長と若いアウトロー、若い方の恋人だけど年長の方ともいい感じになる女と、人物の配置がまったく同じ。

    てことは、終盤は……と、予想していた通りの展開だったので、我ながらすげえとうぬぼれてます。

 

    しかし、この人物配置と、男女の関係性、イヴ・セジウィックがとなえるところの、「ホモソーシャル」な関係性にぴったりハマりこんでしまっているんですね。

 

   つまりぃ、表面的にはぁ、桃井かおり原田芳雄と大門正明の三角関係を描いてるように見えるけどぉ、実際にぃ描かれているのはぁ、男同志の関係性なわけぇ。

    桃井の存在わぁ、男ふたりを繋ぎ合わせるための媒介に過ぎなくてぇ、ふたりのぉ「キズナ」を確かめるためにぃ、交換される存在がぁ、女であり桃井ってわけぇ。

(私は、イヴ・セジウィックの本に二回挑戦したけど、どっちも挫折しちゃったもんで、間違ってたらお恥ずかしい)

 

    明日に向かって撃て!よりも性描写が直接的である分、桃井かおりの扱いが際立ってしまい、私が観るには正直キツい映画でした。

 

    ただし、劇中頻繁に現れる「鳥」のイメージが詩的で切ない(特に「赤い鳥」)し、七十年代の風俗に浸って観るぶんには、良い映画かと。

 

    劇中の扱いが不憫な桃井かおりですが、改めて認識したのは、この人の表情の切り替えの凄さ。それまで甘ったれた表情をしていた桃井かおりが、大門正明に挑みかかるような視線を投げるシーン……水際立ってました。

   あと、脇役で出てくる地井武男が、びっくりするほどイケメンです。

 

【本日の5冊】

 

 

FOR LADIES BY LADIES―女性のエッセイ・アンソロジー (ちくま文庫)

FOR LADIES BY LADIES―女性のエッセイ・アンソロジー (ちくま文庫)

 

 ☆安田南さんのエッセイが所収

 

 

女子マネージャーの誕生とメディア―スポーツ文化におけるジェンダー形成

女子マネージャーの誕生とメディア―スポーツ文化におけるジェンダー形成

 

 

 

 

 

男同士の絆―イギリス文学とホモソーシャルな欲望―

男同士の絆―イギリス文学とホモソーシャルな欲望―

 

 

 

男たちの絆、アジア映画 ホモソーシャルな欲望

男たちの絆、アジア映画 ホモソーシャルな欲望

 

 

 

  

 

    

 

 

 

 

 

 

本屋冥利に尽きるであろう場面に遭遇した話、または谷根千危険地帯

 

 

    谷中の「ひるねこBOOKS」様へ精算に伺うついでに、谷根千町歩きしてきました。

 

    やっぱり歩きがいのある素敵な町なのですが、谷中銀座近辺がものっそい観光地化しててびっくり。

岸惠子佐田啓二も出てない方でおなじみの、「君の名は」効果なんでしょうか?

例の階段では、老いも若きも海外の方も、列をなして写真撮影中でした。

 

    紙バカで本バカでカフェバカな私にとって、谷根千は兎角誘惑の多い危険地帯。

本日も無事、沢山の本屋さんと雑貨屋さんに引っかかり、荷物は重く、財布は軽く、積読本の山は高くなりました。あと、紙ものの置き場がさすがにヤバい。

 

   そして、立ち寄った某古本屋さん(名前出してもたぶん大丈夫そうですが、一応ぼかしておきます)で、欲しい本ばかりの棚を眺めていたところ、ちょっと素敵な出来事がおきたのです。

 

    それまで、岩波文庫を熱心に見ていた若い男性が、店主さんに「あのー、すいません。何か、面白い本を1冊紹介してくれませんか?」とひとこと。

 

    うわー!それ、その質問、本を売ってる人間だったら1度はされてみたいと思うやつだ!でも、実際にされたら確実にテンパるやつだ!

 

   どうする?どうする?店主さん!もう、私の耳は2人の会話に釘付けです。

 

    案の定、店主さんはかなり慌てた様子でしたが、切り返して曰く「そうですね。例えば、どんな感じの本を読みたいですか?」「文学と読み物だったらどちらになさいます」

    むっちゃセオリー通りの質問だ。そうそう、まずはお客様の志向を探らないと、店主さん、分かってるぅ(なぜか、上から目線)

しかし、「どっちもお任せしますよ!」と明るく答えるお客さん。潔い方です。

 

   ここで、店主さん長考。

    私は、「私がこのシチュエーションで同じこと聞かれたらどれ勧めよう?」と、付近の棚を物色しながら、店主さんの返答を待ちました。たまたま目の前に鴻巣友季子さん訳の「嵐が丘」があって、相手が女性だったら100パーセントこれを勧めたいのですが、サブカル好きそうな男性だしなあ。いま手に持ってる「時の娘」という時間SFのアンソロジーも、確実に面白いと思うのですが、これは、私が買うし。

 

    などといらぬ妄想に浸っている私をよそに、店主さんの心は決まった模様。

1冊の単行本をお客さんに差し出すと、「この作家、七十年代に活動していたんですが、後のサブカルチャーに大きな影響を与えてます。生前はあまり評価されなかったらしいですけどね」「この当たりで、お酒を飲みながら読むのにぴったりですよ」と、説明を始めました。

私の位置からは、なんの本かは分かりませんでしたが、確かに、お客さんの雰囲気にぴったりの選書みたい。

 

  「本当は、100円の本でもご紹介すべきなんですが、いまあんまり把握出来てなくて、すみません」と言う店主さんに、

「いや、それをいただきますよ」と爽やかに即決したお客さんは、「この本が面白かったら、また来ますね」と言い残して店を店を後にしたのでした。

 

    さて、店主さんが何の本を紹介したか、見当のつかなかった私。自分の本をレジに持ち込む時、もう一人の店員さんに、「あのー、すみません、差し支えなければ何の本を勧めたのかだけ、教えてください」と恐る恐る聞いてみたところ、快く教えてくださいました。

チャールズ・ブコウスキーの本(「酔いどれ紀行」か「パルプ」だったんだけど、肝心のタイトルを失念)だそうです。

確かに、ブコウスキーが似合う雰囲気のお客さんだったなあ。

たぶん、また来てくれるんじゃないでしょうか?

 

    ちなみに、「いやー、私が同じ事聞かれたらどうしようって思って一生懸命棚見ちゃいましたよー」と店員さんに言ったところ、そこから私が「嵐が丘」の魅力を語る展開に、「一大ラブロマンスなんです!」という私に、その店員さん(女性)は、「それじゃあ私も読んでみようかしら」と言って下さいました。

顧客サービスでおっしゃったとしても、嬉しいです。

 

最後に、自分を戒めるためにも、本日のお買い物リスト。

〈本以外〉

干支(未)の剪紙、古いビールのラベル、狐柄のラッピングペーパー、犬と猫のクロモス、キノコのクロモス(クロモスは、昔流行した紙雑貨で、糊の付いてないシールのようなもの)、いせ辰の千代紙、岩合光昭撮影パンダのシールブック(これ企画した人、天才だと思う)

〈本〉

入江敦彦「英国映画で夜明けまで」、「西洋故事物語」上下、「ロマンチック時間SF傑作選    時の娘」、「安井かずみのおしゃれ泥棒」、「プロ野球大辞典」、鹿島茂「乳房とサルトル」、「D坂文庫2017年夏号」

……あっきらかに買いすぎですね!

 

【本日の5冊】

 

谷中スケッチブック―心やさしい都市空間 (ちくま文庫)

谷中スケッチブック―心やさしい都市空間 (ちくま文庫)

 

 

 

書店員が本当に売りたかった本

書店員が本当に売りたかった本

 

 

 

ブコウスキーの酔いどれ紀行

ブコウスキーの酔いどれ紀行

 

 

 

嵐が丘 (新潮文庫)

嵐が丘 (新潮文庫)